制作会社が提案すべき”成果指標(KPI)”の立て方

Webサイトを作って終わり、では意味がない
Webサイトのリニューアルや新規制作を検討する際、多くの企業が「デザイン」や「機能」に注目しがちです。
しかし、実際には「作って終わり」では、投資対効果が見えず、サイトが本当に成功したのか判断できません。
「リニューアル後、問い合わせは増えたのか?」
「採用サイトを作ったけど、応募数は改善したのか?」
こうした疑問に答えるためには、プロジェクト開始時に明確な成果指標(KPI)を設定することが不可欠です。
Web制作会社として年間100件以上のプロジェクトを手がける私たちlinedot designでは、KPI設計をプロジェクトの最重要フェーズと位置づけています。
なぜ制作会社がKPI設定に関わるべきなのか
従来、KPI設定はクライアント企業のマーケティング部門が行うものと考えられてきました。
しかし、Web制作のプロフェッショナルである制作会社が積極的に関わることで、より実現可能で測定可能な指標を設定できます。
制作会社には、業界ごとの平均的なコンバージョン率や、デザイン・機能とビジネス成果の相関関係に関する豊富なデータがあります。
この知見を活かせば、「なんとなく良さそうなサイト」ではなく、「明確に成果を生み出すサイト」を設計できるのです。
効果的なKPI設定の3つの原則
1. ビジネス目標から逆算する
KPIは「アクセス数を増やす」といった曖昧なものではなく、具体的なビジネス成果に紐づけるべきです。
例えば、BtoB企業のコーポレートサイトなら以下のような設定が考えられます。
良い例:
- 問い合わせフォームからの質の高いリード獲得:月10件
- 資料ダウンロード数:月30件
- 平均セッション時間:3分以上(情報をしっかり読んでもらう)
避けるべき例:
- PV数を前月比20%増加(目的が不明確)
- 直帰率を下げる(ビジネス成果との関連性が薄い)
ビジネス目標が「採用強化」なのか「ブランディング」なのか「売上拡大」なのかによって、追うべき指標はまったく異なります。
2. 計測可能で現実的な数値を設定する
理想を追求しすぎて、非現実的なKPIを設定してしまうケースがよくあります。
制作会社として、業界平均やベンチマークデータを共有し、適切な目標値を提案することが重要です。
| サイト種類 | 一般的なCV率の目安 | 現実的な初期目標 |
| BtoB企業サイト | 1〜3% | リニューアル前の1.5倍 |
| ECサイト | 1〜2% | 購入単価×1.3倍 |
| 採用サイト | 5〜10%(応募率) | エントリー数×2倍 |
また、Google アナリティクス4(GA4)やWordPressの管理画面から実際に計測できる指標であることも必須条件です。
計測できなければ、改善のPDCAサイクルが回せません。

3. 短期・中期・長期で段階的に設定する
Webサイトの効果は一朝一夕には表れません。
公開直後の1ヶ月、3ヶ月後、半年後と、段階的なマイルストーンを設けることで、プロジェクトの進捗を適切に評価できます。
フェーズ別KPI設計例(BtoB企業の場合):
初期フェーズ(公開後1〜3ヶ月):
- サイト認知度の向上:オーガニック検索流入数×1.2倍
- コンテンツの有用性確認:主要ページの平均滞在時間2分以上
- 技術的最適化:ページ表示速度3秒以内
成長フェーズ(3〜6ヶ月):
- リード獲得の安定化:月間問い合わせ15件
- エンゲージメント向上:サイト内回遊率(ページ/セッション)3.0以上
- SEO効果の実現:ターゲットキーワードで検索順位トップ10入り
成熟フェーズ(6ヶ月〜1年):
- ビジネス成果への直接貢献:Web経由の商談化率30%
- ブランド認知の定着:指名検索(社名検索)数×1.5倍
- 顧客満足度の向上:サイト経由の成約率20%
実践:KPI設定ワークショップの進め方
linedot designでは、プロジェクトキックオフ時に必ず「KPI設定ワークショップ」を実施しています。
週一回の定例ミーティングの初回で、以下のステップを踏んでいきます。
Step1:現状把握と課題の可視化(30分)
既存サイトのアクセス解析データや、営業・マーケティング部門が感じている課題をヒアリングします。
Google アナリティクスのデータがあれば、直近3ヶ月のトレンドを分析し、改善ポイントを洗い出します。
ヒアリング項目例:
- 現在のWebサイトからの月間問い合わせ数
- 競合他社のWeb活用状況
- 社内リソース(更新頻度、担当者のスキル)
- 予算と期待するROI
Step2:ビジネスゴールの明確化(20分)
「なぜWebサイトを作るのか」という根本的な問いに立ち返ります。
経営層の意図と現場担当者の期待を擦り合わせ、優先順位をつけていきます。
Step3:KPIツリーの作成(40分)
最終的なビジネスゴールを頂点に、それを達成するための中間指標、さらに日々追うべき行動指標へと分解していきます。
KPIツリーの例:
【最終ゴール】年間売上5,000万円増加
↓
【中間指標】Web経由の商談数:年間60件
↓
【日次KPI】
- 問い合わせ数:月10件(質の高いリード)
- 資料ダウンロード数:月30件
- サービスページ訪問数:月500UU
- オーガニック検索流入:月1,000セッション
Step4:計測環境の整備計画(15分)
設定したKPIをどのツールで計測するか、具体的な設定方法までを決定します。
WordPressサイトの場合、GA4の導入だけでなく、フォーム送信の計測設定やヒートマップツールの導入も検討します。
Step5:レポーティングルールの合意(15分)
月次レポートのフォーマットや、数値が未達だった場合の改善アクションの決め方など、運用ルールを明文化します。
linedot designでは、納品時に「WordPress運用説明書」とともに「KPIダッシュボードの見方ガイド」もお渡ししています。
KPI達成を支えるWordPressの仕組み化
KPIを設定しても、サイト運用が滞っては意味がありません。
linedot designでは、「専門知識不要の簡単更新」を実現するWordPressカスタマイズにより、KPI改善のPDCAサイクルを回しやすくしています。
具体的な機能例:
- コンテンツ更新がスムーズにできるカスタム投稿タイプ設計
- ABテストが簡単に実施できるCTAボタン管理機能
- お問い合わせフォームの離脱率を可視化するトラッキング設定
- ブログ記事のSEO効果を自動チェックするプラグイン導入
これらの仕組みにより、「KPIの数値を見る→改善策を考える→すぐに実行する」というサイクルを、担当者様ご自身で回していただけます。

まとめ:成果が見えるWeb制作を
Web制作において、美しいデザインや最新技術の導入はもちろん重要です。
しかし、それ以上に大切なのは「ビジネス成果に貢献できているか」を測定し、継続的に改善していく仕組みです。
制作会社として適切なKPI設定を提案し、その達成を支える運用しやすいWordPressサイトを構築すること。
これこそが、私たちlinedot designが考える「型にはまらない洗練されたデザイン」と「専門知識不要の簡単更新」を高次元で両立させる真の価値です。
KPI設定のポイントまとめ:
- ビジネス目標から逆算して具体的な数値を設定する
- 計測可能で現実的な目標値にする
- 短期・中期・長期で段階的なマイルストーンを設ける
- キックオフ時にワークショップ形式で合意形成する
- 運用しやすいWordPressの仕組みで改善サイクルを回す
WordPressサイトの制作や運用でお悩みでしたら、linedot design(ラインドットデザイン)にお気軽にご相談ください。
貴社のニーズに合わせた最適なWeb制作プランをご提案いたします。
お問い合わせはこちら:https://linedot-design.com/contact/