ユーザビリティテストとは?実施方法と改善への活かし方

「せっかく時間とコストをかけてWebサイトを制作したのに、想定していた成果が上がらない」
「ユーザーの反応がいまひとつ」
といった課題を抱えていませんか?
実は、企業のWebサイトの約70%がユーザビリティ(使いやすさ)に何らかの問題を抱えているという調査結果があります。
このような課題を解決する有効な手法が「ユーザビリティテスト」です。
この記事では、ユーザビリティテストの基本から実施方法、そして具体的な改善への活かし方まで、Web制作担当者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
適切なユーザビリティテストを実施することで、サイトの使いやすさを大幅に向上させ、コンバージョン率の改善やユーザー満足度の向上を実現できます。
ユーザビリティテストとは何か?
基本的な概念と目的
ユーザビリティテストとは、実際のユーザーにWebサイトやアプリケーションを操作してもらい、使いやすさや課題を客観的に評価する調査手法です。
開発者や運営者の主観的な判断ではなく、実際の利用者の行動や反応を観察することで、本当の問題点を発見できます。
主な目的は以下の3点です:
- ユーザビリティ上の問題点の特定:ユーザーがつまずく箇所や迷う部分を明確にする
- 改善の優先順位付け:影響度の高い問題から順に対処できるよう整理する
- 改善効果の測定:リニューアル前後での使いやすさの変化を定量的に評価する
WordPressサイトでの重要性
WordPressで構築されたコーポレートサイトやブランドサイトでは、特にユーザビリティテストが重要な意味を持ちます。
CMSの特性上、コンテンツの更新や機能追加が頻繁に行われるため、意図しない使いにくさが生まれやすいからです。
また、WordPressは豊富なテーマやプラグインが利用できる反面、カスタマイズの自由度が高いがゆえに、統一感のないUI/UXが生まれがちです。
定期的なユーザビリティテストにより、これらの課題を早期に発見し、ユーザーにとって使いやすいサイトを維持できます。
ユーザビリティテストの種類と選び方
定性的テストと定量的テスト
ユーザビリティテストは大きく2つのアプローチに分けられます。
定性的テストは、少数のユーザー(通常5-8名)を対象に、行動の観察やインタビューを通じて深い洞察を得る手法です。
「なぜユーザーがその行動を取ったのか」という背景や心理状態まで理解できるのが特徴です。
予算が限られている場合や、新機能の初期検証段階で特に有効です。
定量的テストは、より多くのユーザー(30名以上)を対象に、統計的に有意なデータを収集する手法です。
「どれくらいのユーザーが問題を抱えているか」を数値で把握でき、改善の効果測定や経営層への報告資料作成に適しています。
リモートテストと対面テスト
実施方法の観点では、リモートテストと対面テストの選択も重要です。
リモートテストは、参加者が自宅など慣れた環境でテストを行うため、より自然な行動を観察できます。
地理的な制約もなく、コストを抑えながら多様なユーザーを対象にできる利点があります。
コロナ禍以降、多くの企業で採用が進んでいる手法です。
対面テストは、参加者の表情や細かな反応まで直接観察できるため、より詳細な情報を収集できます。
複雑なプロダクトのテストや、重要な意思決定に関わる調査では、対面での実施が推奨されます。
効果的なユーザビリティテストの実施方法
準備段階:目的の明確化と計画立案
成功するユーザビリティテストの90%は準備段階で決まります。
まず「何を知りたいのか」を明確に定義することから始めましょう。
調査目的の設定例:
- 新規ユーザーの会員登録プロセスの課題発見
- 商品検索機能の改善点特定
- スマートフォン表示時の操作性検証
目的が決まったら、具体的なタスク(課題)を設計します。
例えば「商品Aを検索し、カートに追加してください」といった、実際の利用シーンを想定した現実的なタスクを用意することが重要です。
参加者の選定と募集
適切な参加者の選定は、テスト結果の質を大きく左右します。
ターゲットユーザーの属性(年齢、職業、ITリテラシーレベルなど)に合致した参加者を5-8名程度募集するのが一般的です。
効果的な募集方法:
- 既存顧客へのメール案内
- SNSやWebサイトでの公募
- 調査会社の利用
- 社内の関係者ネットワーク活用
重要なのは、開発チームや運営チームのメンバーではない、客観的な視点を持った参加者を選ぶことです。

テスト実施と観察のポイント
テスト当日は、参加者がリラックスして自然な行動を取れる環境づくりが重要です。
「テストされているのは参加者ではなく、サイトの方です」ということを明確に伝え、プレッシャーを和らげましょう。
観察すべきポイント:
- 操作の迷いや躊躇:クリックする前に長時間考え込んでいる箇所
- エラーパターン:間違ったリンクをクリックする、期待した結果が得られない場面
- 表情や言葉:困惑、イライラ、満足といった感情の変化
- 完了までの時間:各タスクにかかる時間の測定
録画や画面キャプチャを活用し、後で詳細な分析ができるよう記録を残すことも大切です。
テスト結果の分析と改善への活かし方
データの整理と課題の優先順位付け
テスト終了後は、収集したデータを体系的に整理し、改善の優先順位を決めることが重要です。
課題の分類方法:
重要度 | 影響範囲 | 対処の緊急性 | 改善例 |
高 | 多くのユーザーが遭遇 | 即座に対応 | メインナビゲーションの表示バグ |
中 | 一部のユーザーが遭遇 | 次回更新時に対応 | フォームの入力項目の順序 |
低 | 限定的な影響 | 将来的に検討 | デザインの微調整 |
特に、複数の参加者が同じ箇所でつまずいた問題は、重要度が高い課題として優先的に対処すべきです。
具体的な改善実施とフォローアップ
課題が特定できたら、具体的な改善策を検討し、実装していきます。
WordPressサイトの場合、テーマのカスタマイズやプラグインの調整で対応できる項目が多いのが特徴です。
改善実施後の重要なポイント:
- 効果測定の実施:改善前後でのユーザー行動の変化を数値で確認
- 継続的なモニタリング:アクセス解析ツールを活用した日常的な観察
- 定期的な再テスト:3-6ヶ月ごとの継続的なユーザビリティ検証
改善は一度きりではなく、継続的なプロセスとして捉えることが重要です。
ユーザーのニーズや技術の進歩に合わせて、常にサイトを最適化していく姿勢が求められます。
今すぐ始められる実践ステップ
ステップ1:現状のサイト分析(1週間)
まずは自社サイトの現状を客観的に把握しましょう。
Google Analyticsやヒートマップツールを活用し、以下の項目を確認してください:
- 離脱率の高いページ:ユーザーが途中で諦めているページを特定
- 滞在時間の短いページ:情報が伝わりにくい、または見つけにくい可能性
- コンバージョン率の低いページ:目標達成を阻害している要因の推測
ステップ2:簡易テストの実施(2週間)
社内の他部署メンバーや知人を対象に、簡易的なユーザビリティテストを実施してみましょう。
本格的な調査の前段階として、明らかな問題点を発見できます。
簡易テストの進め方:
- 3-4つの具体的なタスクを用意する
- 参加者に「声に出して考えながら操作」してもらう
- つまずいた箇所やコメントをメモする
- 所要時間を測定する
ステップ3:改善の実施と効果測定(1ヶ月)
発見した課題のうち、影響度が高く実装しやすいものから順に改善していきます。
WordPressサイトであれば、テーマファイルの修正やCSS調整で対応できる項目が多いはずです。
改善実施後は、必ず効果を数値で確認しましょう。アクセス解析データの変化やコンバージョン率の推移を追跡し、改善が実際に効果をもたらしているかを検証することが重要です。

まとめ:継続的な改善サイクルの構築
ユーザビリティテストは、Webサイトの使いやすさを客観的に評価し、具体的な改善につなげる強力な手法です。
特にWordPressで構築されたサイトでは、コンテンツや機能の更新が頻繁に行われるため、定期的なユーザビリティ検証が欠かせません。
成功のポイントまとめ:
- 明確な目的設定:何を知りたいかを具体的に定義する
- 適切な参加者選定:ターゲットユーザーに近い属性の人を選ぶ
- 継続的な実施:一回限りではなく、定期的な検証サイクルを構築する
- データに基づく改善:感覚的な判断ではなく、客観的なデータを重視する
最も重要なのは、「完璧なサイト」を一度で作ろうとするのではなく、継続的な改善によってユーザーにとってより良いサイトを育てていく姿勢です。
小さな改善の積み重ねが、最終的に大きな成果をもたらします。
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